高身長の人の高いがん発症リスクは「生まれつき」、 細胞の数に一因 米研究
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【10月25日 AFP】身長が高い人ほどがんを発症するリスクが高いのは「生まれつき」で、その一因は体内の細胞の数が多いからだとする米国の研究結果が24日、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。
がんは、遺伝子の突然変異によって正常な細胞増殖機能を失った異常細胞が、無秩序に増殖し続ける病気。研究者の間では、背が高いとがんリスクも高まる傾向が知られている。
米カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)のレナード・ナニー(Leonard Nunney)氏の研究によると、米国、欧州、韓国の男女を対象にした調査から、身長が10センチ高いとがん発症リスクも10%上がることが分かった。その理由の一つは、背の高い人ほど体内の細胞の数が多く、それだけ突然変異が起きる可能性も高くなるからだと考えられるという。
「この余分なリスクは『生まれつき』のもので、はっきりした方法でリスクを軽減することはできない」と、ナニー氏はAFPに説明した。
たとえばゾウやキリンなどの大型哺乳類は、小型の哺乳類に比べて体内の細胞の数が非常に多いが、進化の過程でがん細胞から体を守るための追加的な機能が備わったと考えられている。しかし、ヒトなどの単一種に、こうした保護機能が備わっていることを示す証拠はない。
ナニー氏によると、背の高い人は平均的な身長の人と比べて細胞分裂率が高くて皮膚の面積も広いため、特に悪性黒色腫(メラノーマ)と呼ばれる皮膚がんを発症するリスクが上がることが分かった。
一方、女性については胃がん、口腔がん、子宮頸がんの発症リスクに身長の影響は見られなかった。(c)AFP/Patrick GALEY