第1次世界大戦の遺品、5家族が語る思い出 終結から100年
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【11月8日 AFP】英国軍兵士のたばこ缶、ロシアのイコン(聖画像)、戦闘で片腕を失った祖父の写真──第1次世界大戦(World War I)で戦った人々の子孫が大事にとっている家族の思い出の品々だ。
AFPは第1次世界大戦の終結から100年となる11月11日を前に、戦闘に参加した人の子孫5家族に、形見の品や同大戦にまつわる思い出について聞いた。
■たばこ缶
メラニー・ヘンウッド(Melanie Henwood)さんの曽祖父イノック・デービス(Enoch Davis)さんの所有していた真ちゅう製のたばこ缶には、かつてはたばこと鉛筆が入れられていた。
デービスさんは1871年、イングランド中部スタフォードシャー(Staffordshire)で生まれ、第1次大戦中は英陸軍武器隊に所属していた。
たばこ缶には、当時の国王ジョージ5世(King George V)の娘メアリー王女(Princess Mary)からのメッセージ「新年が、勝利の年になることを祈って」が添えられていた。これと同じようなたばこ缶は、1914年のクリスマスに英国軍兵士全員に配られた。
「毎年クリスマスにこのたばこ缶を開けて、曽祖父もこうやって毎年缶を開けたのだろうと思いを巡らす。家族のつながりを実感できる」と、ヘンウッドさんは語った。
■オーストリアの版画
オーストリア南部ケルンテン(Carinthia)州はオーストリア・ハンガリー帝国の一部だったが、第1次世界大戦を機に行われた住民投票でオーストリアとなることを選んだ。このことが住民の人生を大きく変えた。
カルメン・クスター(Carmen Kuster)さんは子どもの頃、スロベニアとの国境に近いアルプスの丘陵地帯にあるガリツィア(Gallizien)村に住んでいた。この地域がどの国に組み込まれるか決める住民投票が行われた時、「すべての学校や大学に張り出された」投票を呼び掛ける版画が、何よりも目立っていたことを今でも覚えている。
住民投票の結果、59%の賛成でオーストリアに残ることが決まった。クスターさんの曽祖父も、熱心な残留派だった。「(住民投票が行われた)10月10日は、ケルンテンの祝日となっていて、今でもみんなで祝っている」と、クスターさんは説明した。
■ロシアのイコンと旗
オリガ・ホロシロバ(Olga Khoroshilova)さんの家族は、第1次世界大戦時の思い出の品であるイコンと軍旗をなんとか守り抜いた。ロシア革命後、ロシア帝国時代の品を持っているのは危険なことだった。
ホロシロバさんのアパートの壁には、1914~18年に第1次世界大戦で戦った家族の写真があり、その横には北部戦線で戦ったパルチザン特別部隊の旗の一部が飾られている。この部隊はホロシロバさんの大叔父レオニード・プーニン(Leonid Punin)さんが編成した部隊だった。
「1917年の十月革命後、部隊が解散すると、隊員たちは1枚の旗を分け合った。祖父は旗の中心部分を分けてもらった」とホロシロバさんは言う。