オバマ氏やCNNにパイプ爆弾 トランプ氏政敵標的か
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【10月25日 AFP】米国で、パイプ爆弾がバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領とヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官を含む民主党の著名政治家やCNNテレビ支局に相次いで送付される事件が起きた。当局が24日、発表した。標的はいずれも共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の支持者による憎悪の対象となっている人物や組織で、当局は中間選挙を目前に「恐怖をあおる」ことが目的と指摘している。
米国では、トランプ大統領に対する審判の機会とみられている11月6日の中間選挙まで2週間を切る中、社会の分断が深まっている。CNNテレビはここ2年間にわたり、2016年の大統領選でクリントン氏を破りオバマ氏の後任に就任したトランプ大統領に批判的な報道を繰り返してきた。
一連の爆弾送付事件は22日、富豪でリベラル派献金者のジョージ・ソロス(George Soros)氏がニューヨーク州に構える自宅で見つかった装置から始まった。FBIのブライアン・パーマン(Bryan Paarmann)捜査官は「一連の装置は今のところ、パイプ爆弾とみられる」と説明。実行犯は同じタイプの複数の小包を一斉に送付したとみられると語った。
不審な装置はマンハッタン(Manhattan)にあるアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事(民主党)の事務所にも送付された。またフロリダ州でも、民主党のデビー・ワッサーマン・シュルツ(Debbie Wasserman Schultz)下院議員の事務所付近で不審な小包が見つかり、警察が調査に当たっている。
ホワイトハウス(White House)は事件を「卑劣な」行為と非難。トランプ氏もホワイトハウスで発表した声明で、米国には政治的暴力行為の「居場所はない」と言明した。
CNNのニューヨーク支局では24日、郵便集配室でパイプ爆弾と白い粉が入った小包が見つかったことを受け、局内から従業員が退避。警察によると、現場には爆弾処理班が派遣された。不審物はCNN気付けでジョン・ブレナン(John Brennan)中央情報局(CIA)元長官に宛て送られていた。ブレナン氏はこれまで識者として番組に出演してきたが、CNNとの雇用関係はない。
米大統領警護隊(シークレット・サービス、US Secret Service)は23日、クリントン氏と夫のビル(Bill Clinton)元大統領が暮らすマンハッタン北郊ウェストチェスター(Westchester)の邸宅宛てに送られた小包を回収。24日には、首都ワシントンのオバマ家宅に送られた2つ目の小包を回収した。
ニューヨークのビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長は「恐怖をあおる行為」を批判。同じく民主党に所属するクオモ州知事と共に、選挙で選ばれたすべての政治家に対して、過激な言論を控えるよう訴えた。これはトランプ大統領を念頭に置いた発言とみられる。
一方の共和党議員らも直ちに事件を糾弾。ミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は事件を「国内テロ未遂」と呼び非難した。(c)AFP