【10月25日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、中米から米国を目指し北上している移動する移民集団(キャラバン)への対応で強硬な姿勢を鮮明にしている。11月の中間選挙が約2週間後に迫る中、このような強硬姿勢はトランプ氏にとって有利に働いているが、一方の民主党は、移民問題で苦戦を強いられている。

 移民問題をめぐっては今夏、トランプ政権が不法移民の親子を引き離す方針を打ち出し、その手法に大きな批判が集まった。こうした流れを受け、11月の中間選挙では民主党が多数派を取り戻す可能性があるとの予測も出ていたが、移民キャラバンへの対応でトランプ氏が反撃のチャンスをつかむ形となっている。

 トランプ氏にとって移民問題は、選挙戦における「天からの贈り物」と言えるだろう。メキシコを横断し、米南部の国境を目指す数千人の大半はホンジュラスからの移民で、彼らの存在がトランプ氏に政治的な助け舟をもたらすことになったのだ。

 トランプ氏は22日、メキシコと国境を接するテキサス州で行われた選挙演説で「民主党は、何万もの不法入国者が法律を破り、国境を侵し、我が国を転覆させるよう仕向けている」と主張。「民主党は我が国の主権を攻撃し始めた」と言い放った。

 これに対し、民主党は沈黙したままだった。

■「国家の危機」

 2016年の大統領選でトランプ氏は、国境での危機的状況が米国にとって最大の脅威であるとし、移民が暴力と薬物を持ち込んでいると人々に訴え、支持層を固めた。

 そして今、トランプ氏は移民キャラバンが「国家の危機」であると正式に表明することをちらつかせて、人々の恐怖をあおっている。これは、不法移民問題を11月の中間選挙の争点にしようとする自身の戦略に合わせた動きでもある。

 トランプ氏は、メキシコ国境の封鎖を警告し、また移民の流れを止められなかったとしてグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルに対する援助打ち切りについても言及している。こうした発言は、同氏の支持者らにとっては大きなアピールとなる。