【10月21日 AFP】タンザニアの経済の中心地ダルエスサラーム(Dar es Salaam)で武装集団に拉致された大富豪の実業家モハメド・デュージ(Mohammed Dewji)氏(43)が解放され、無事自宅に戻った。デュージ氏本人が20日、明らかにした。

 デュージ氏は11日、市内にあるホテルのスポーツジムに入ろうとしたところに拉致された。

 米経済誌フォーブスによると、デュージ氏は純資産額15億ドル(約1700億円)でアフリカ人長者番付の17位につける。

 同氏はまた約10か国に展開する企業「MeTLグループ(MeTL Group)」の経営者で、アフリカ出身者で最年少のビリオネア(10億ドル以上の資産を持つ人)でもある。

 ダルエスサラームでの記者会見に出席したデュージ氏には緊張と疲労の色が見られたが、「無事健康で自宅に戻れたことをアラーの神に感謝する」と述べるとともに、警察など当局者らにも謝意を示した。

 タンザニア国家警察のサイモン・シロ(Simon Sirro)長官は同席した記者会見で、デュージ氏からすでに事件の情報を得ているとし、「モハメド・デュージ氏はわれわれに対して、犯人たちが金を欲しがっていたものの、武装していたにもかかわらず非常に不安がっていたと述べた。デュージ氏がいくら欲しいのかと何度尋ねても答えず、数字を口にしなかった」と話した。

 さらにデュージ氏は、犯人グループに両親の連絡先を教えても、接触を図れば警察に捕まると恐れ、最終的にあきらめたという。

 結局、犯人グループはデュージ氏を拉致したホテルで解放。デュージ氏はそこから自宅に戻り、警察の事情聴取を受けた。

 シロー長官は詳細を明かさなかったものの、「もう犯行ネットワークについて分かっている。どの国で犯行プランがつくられたかも分かっている」と述べた。

 また、ダルエスサラーム警察幹部は、犯人らがアフリカ南部の言葉を話していたとデュージ氏が語ったと、報道陣に明らかにした。デュージ氏を拉致した集団は外国人ではないかとの疑いを裏付けるものとなる。(c)AFP