【10月20日 AFP】インド洋で違法に活動する漁師たちは、不吉の象徴とされるアホウドリが、本当に悪運をもたらすと心配しなければならないかもしれない──絶滅の危機にさらされているアホウドリの保全活動に携わる、フランスの研究機関「シゼ生物学研究所(Centre for Biological Studies in Chize)」によると、アホウドリを研究するための科学プロジェクトが、密漁船を識別する一助になる可能性があるという。

 今年11月から来年3月にかけて、インド洋南部にある仏領クロゼ(Crozet)諸島とケルゲレン(Kerguelen)諸島、アムステルダム(Amsterdam)島に生息するアホウドリ150羽に、小型発信器を装着することになっている。この装置が、海上で遭遇する船舶の発するレーダー信号を自動的に検知するという。

 欧州評議会(Council of Europe)の資金提供を受け、「オーシャンセンチネル(Ocean Sentinel、海の番人)」と名付けられたこのプロジェクトは、南アフリカで今年、初めて実験に付された。

 ニュージーランドと共同で開発された重さ70グラムの発信器は、アホウドリの背中に装着することで、研究者らはアホウドリを追跡し、その食性を分析することができる他、アホウドリと遭遇した船舶が発するレーダーも拾うこともできる。

 違法に操業する船は禁漁区に侵入する際、衛星による自動追跡を逃れるために船舶自動識別装置(AIS)のスイッチを解除する一方、それでも安全上の理由から微弱なレーダーを発せざるを得ない。アホウドリに装着する装置は、この信号を拾うことができるという。(c)AFP/Philippe BERNES-LASSERRE