【10月20日 AFP】(更新)米司法省は19日、今年の米中間選挙などに干渉したとして、ロシア人の女を訴追したことを発表した。同選挙への干渉をめぐり刑事責任が追及されるのは初めて。

 訴追請求状によると、訴追されたエレーナ・アレクセーブナ・クシエノバ(Elena Alekseevna Khusyaynova)容疑者は、ロシア・サンクトペテルブルク(St. Petersburg)に本社を置く企業インターネット・リサーチ・エージェンシー(Internet Research Agency)で広域政治干渉活動「プロジェクト・ラフタ(Project Lakhta)」の会計主任を務め、米国を標的とした干渉と影響力行使の取り組みに資金を割り当てたとされる。

 ジョン・デマーズ(John Demers)司法次官補は、「本日の訴追は、ロシア国籍のエレーナ・アレクセーブナ・クシエノバ容疑者が、同国の影響力行使作戦の要員と共謀して米国の民主主義に干渉したことを主張するものだ」と述べた。

 検察当局によると、インターネット・リサーチ・エージェンシーはウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領と親しいエフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏が、同氏のコンコード・マネジメント・アンド・コンサルティング(Concord Management and Consulting)グループを通じて管理している。

 プリゴジン氏は、同大統領向けのケータリングサービスを運営していることで「プーチンのシェフ」とも呼ばれる人物。同氏はすでに今年2月、2016年の米大統領選挙で偽情報を拡散する作戦に関与したとしてインターネット・リサーチ・エージェンシーの従業員12人と共に訴追されている。

 クシエノバ容疑者に対する訴追請求状によると、同容疑者は2018年1月から6月までプロジェクト・ラフタに毎月予算を割り当て、その総額は6億5000万ルーブル(約11億1700万円)を超えた。

 資金の使途には、インターネット・リサーチ・エージェンシーの実働要員の活動費や、ソーシャルメディア上の広告費、ドメイン名の登録費、プロキシサーバーの購入費など、同社の影響力行使作戦に必要なあらゆる出費が含まれていた。(c)AFP/Paul HANDLEY