DNAデータ、暗号化技術向上で「共有利用」可能に?
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【10月19日 AFP】家系調査サイトに蓄積されているのは、利用者それぞれの唾液から得られた膨大な量のDNA特性データだ。
だが現状では、この大量のデータを遺伝学分野の研究に利用するのは実質的に不可能となっている。信頼性の点で大きな代償を被る恐れがあるため、情報漏えいを懸念する各サイトがデータベースを慎重に保護しているからだ。
このデータ活用の問題について、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のボニー・ベルガー(Bonnie Berger)教授(数学)と研究チームは、情報を保護する最新の暗号化システムを用いることで解決できると考えている。
ベルガー教授は、AFPの取材に「現在、このゲノム(全遺伝情報)データを共有利用することについては足踏み状態にある」「研究者らが各サイトのデータを入手するのは実に困難であり、実際に科学の助けになっていない」と指摘する。
また、「遺伝子変異と疾病との関連性を見つける目的でデータを利用することは誰にもできない」「だが、各サイトですでに蓄積されている膨大なゲノムデータの活用ができればどうだろうか」と、その潜在性について触れた。
米科学誌サイエンス(Science)で発表された最新の暗号化技術のアイデアは、製薬会社が提供するデータ群から薬剤候補を見つけることに関連して開発されたものだ。先行研究では、このアイデアをDNA特性データに適用できることが示されていた。
各研究室では、特定の薬剤に適した候補を見つけるために、数百万の薬剤化合物と人体に存在する数万種のタンパク質との関連性を特定する試みが常に行われている。
ただ、取り組んでいる研究内容をライバルに知られるのは困る。薬剤化合物は特許権の対象で秘密扱いとなっている場合が多いため、情報共有はあまり行われない。