被害者が責められる社会、韓国「#MeToo」火付け役女性の過酷な闘い
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【10月21日 AFP】韓国のセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」の口火を切った徐志賢(ソ・ジヒョン、Seo Ji-hyun)さん(45)は、控え目で、ささやくような声で話すが、その行動が韓国女性に与えた影響は大きい。
ソウルの検事だった徐さんは、同僚の父親の葬儀の場で、年上の同僚男性に何度も体をまさぐられた。苦情を訴えると、その後何年も検察庁で嫌がらせを受けるようになった。
最終的に徐さんは今年1月、テレビで事実を公にし、涙ながらのインタビューが放映された。因習に逆らって、自身の経験を詳しく語る徐さんの声は震えていた。
徐さんの行動は、経済や技術が発展した今も、社会に深く染み込んでいる家父長制の価値観が残る韓国で、前例がないことだった。そして徐さんの勇気ある行動を見て、他の女性たちもせきを切ったように自分の体験を語り始めた。
数えきれないほどの韓国女性が、アート、教育、政治、宗教界の権力者たちによるレイプや性的不品行を訴えた。
告発を受けた権力者には、元大統領候補から、世界中の賞を総なめにした一流映画監督、アジア全域で知られる俳優、ノーベル文学賞候補に何度も挙がり高く評価されている詩人などがいた。
徐さんは自分が検察官だったことで、いっそう屈辱的な思いを味わったと、AFPの取材に述べた。徐さんが海外メディアのインタビューを受けるのは珍しい。
「検察官は正義を追求する仕事なのに、非常に恥ずべきことだと感じた。犯罪行為について堂々と意見を述べることさえできなかった」と徐さんは言う。
「テレビで話すことを決めた時は、これ以上耐えられない状態だった。結局、テレビで話したことが社会的自殺に等しい行為になってしまった。辞職して、残りの人生を世捨て人のように暮らす覚悟をした」