【10月18日 AFP】米国で今秋、手足のまひを招くポリオに似た希少な病気「急性弛緩性脊髄炎(AFM)」の患者が子どもを中心に増加し、保健当局が警戒を強めている。

 AFMは脊髄を介して神経系が侵される病気で、有効な治療法が見つかっていない。短期間で回復する患者がいる一方、手足にまひが残ることもある。昨年には子ども1人が死亡した。

 2014年以降に確認されたAFMの症例は386件で、18歳未満の患者が圧倒的に多い。患者の平均年齢は4歳。

 米疾病対策センター(CDC)によると、今年は8〜9月の30件前後を含め、62件の発症が確認されている。同じく秋に患者が急増した2014、2016年に近い値だが、今年の流行期はまだ終わっておらず、検査中の疑い例が数件ある。

 AFMの原因は不明。ポリオに似ているものの、CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(National Center for Immunization and Respiratory Diseases)のナンシー・メッソニエ(Nancy Messonnier)所長によれば、患者からポリオウイルスは検出されていない。また、全米50州のうち22州に広まっていることから、地理的な要因も考えにくいという。

 同所長は「AFMの高い発症リスクを抱えている可能性があるのはどんな人なのか、また、そうした可能性がなぜ生じるのかは分かっていない。われわれはAFMの長期的影響について十分に理解していない」と述べた。

 一方、米国でのAFMの罹患(りかん)率が年間100万人あたり1人にとどまっていることは確かだ。同所長は、「現在は症例が増加しているが、親たちはAFMが非常にまれな病気であることを認識しておく必要がある」と述べた。(c)AFP