【10月17日 AFP】「絵の具が乾くのを見る」という言葉(極めて退屈なことのたとえ)があるが、美術愛好家たちはもうすぐ、世界で最も有名な絵画が修復される様子をその場で、またはインターネットを通じて見られるようになる。

 修復されるのは、オランダのアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)が所有する巨匠レンブラント(Rembrandt)の名画「夜警(The Night Watch)」。作業は2019年7月から始まり、費用は数百万ユーロ(数億円)。作業は完全に公開される。

 修復は通常、人目を避けて行われるが、今回の作業は「最先端の透明なガラス部屋」で進められるため、来館者は17世紀に制作された名画が復活する様子をその目で見ることができる。

 アムステルダム国立美術館のタコ・ディビッツ(Taco Dibbits)館長は16日、今回の修復は同館史上最大のプロジェクトだと説明。「『夜警』は皆に愛されている絵画で、年間200万人余りが鑑賞に訪れる。私たちは、自分たちがこの作品にすることを見る権利が世界にはあると思っている」と語った。

 さらに同館長は、作業はインターネットでライブ配信されるため、「誰でも、どこにいても、オンラインで作業を見守ることができる」と述べた。

 前回「夜警」に大掛かりな修復が行われたのは40年前、精神疾患を抱えた男性がナイフで作品を傷つけた時のことだった。専門家らはその後、ナイフによる傷の周囲を中心に数か所が白くぼやけ、小さな犬が描かれているところが色あせているのを発見している。

 今後、専門家らが表面のニス、絵の具、キャンバスの各層を高精細画像撮影とコンピューター解析で調べ、どのような修復技術が最適かを判断する。(c)AFP/Danny KEMP