【10月16日 AFP】豪雨に見舞われたフランス南西部の町で、今年3月にイスラム過激主義者による立てこもり事件で夫を失った女性が、洪水で両親を失っていたことが分かった。当局が16日、明らかにした。

 中世の面影を残す落ち着いたたたずまいの町トレブ(Trebes)では今年3月、銃で武装した男がスーパーマーケットで複数の客と店員を人質に取って立てこもる事件が発生し、4人が死亡。

 警察官が自ら人質女性の身代わりになり、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓っていたとされる44歳の男に殺害されたことで、事件は世界中で報じられることになった。

 その7か月後の14日夜、今度は仏南西部を襲った暴風雨により、事件の舞台となったスーパー「シュペルU(Super U)」は浸水。

 オード(Aude)周辺の地域では洪水により、少なくとも11人が死亡、3人が行方不明となった。

 16日にAFPの取材に応じた地元当局者と近隣住民の話によると、立てこもり事件と今回の洪水で家族3人を失った女性がいるという。

 この女性の夫で、当時61歳だったジャン・マシエレス(Jean Mazieres)さんは、男が銃を乱射した際、駐車していた車の中で銃弾を浴びて死亡。元ワイン醸造業者だったというマシエレスさんは、立てこもり事件の最初の犠牲者となった。

 女性の80代の両親は15日、オード川の氾濫で流されたという。当局によると、オード川の水位はたった5時間で8メートルも上昇した。

 AFPの取材に応じた近所の人は、「ひどいことだ。夫を亡くしていた女性は、両親をも失った」「トレブの川沿いに住む2人の元には看護師が毎日訪問して健康状態をチェックしていた」と語った。(c)AFP