【10月16日 AFP】今年3月に76歳で死去した英国の宇宙物理学者、スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士の遺作「Brief Answers to the Big Questions(大きな疑問への簡潔な回答)」の出版イベントが15日、英ロンドンの科学博物館で開かれた。

 ホーキング博士は、神の存在からタイムトラベルの可能性まで、多彩な問題への答えを記した著書の執筆に取り組んでいたが、完成を見ずに死去。博士の子どもたちや学者仲間たちが博士個人の膨大な記録資料を参照して同書を完成させた。

 博士の長女、ルーシー・ホーキング(Lucy Hawking)さんは「父はいつも、いくつかの決まった質問をされていました」と出版イベント会場で述べ、「この本は、父からの最も確実かつ明快で、最も基本的な回答を集めたものです」と説明した。

 ホーキング博士はALS(筋萎縮性側索硬化症)のため車いす生活を送りながら、宇宙の謎の解明に生涯をささげた。1988年に著書「ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)」が異例のベストセラーとなったことから、博士のファンは宇宙物理学界を超え、世界的に広がった。こうしたファンたちは、天才的な宇宙物理学者の答えを聞こうと、博士に数々の質問を投げかけてきた。遺作はこれらの質問に答えるものだという。

■10の大きな疑問

- 神は存在するのか

- すべてはどのように始まったのか

- ブラックホールの中はどうなっているのか

- 未来を知ることは可能か

- タイムトラベルはできるようになるか

- 人類は地球で生き残れるか

- 宇宙に人類以外の知的生命体は存在しているのか

- 人類には宇宙コロニー(居住地)が必要か

- 人工知能(AI)が人類を超える日が来るのか

- 人類はどのような未来を築けばよいのか

 ホーキング博士はこうした問いへの答えとして、遺作の中で次のように語っている。