【10月16日 AFP】オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は16日、在イスラエル大使館をテルアビブ(Tel Aviv)からエルサレムに移転することを検討すると明らかにした。実現すればドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が移転に踏み切った米国などに続く動きとなる。

 モリソン首相は記者会見で、エルサレムをイスラエルの首都と正式に認定し、オーストラリア大使館をエルサレムに移転することに関して「偏見を持っていない」と述べ、歴代豪政権の政策と決別する姿勢をうかがわせた。

 モリソン首相はイスラエルとパレスチナの「2国家共存」による解決策は支持する考えを示しながらも、「率直に言って、この解決策はさほどうまくいっておらず、あまり進展が見られない。同じことを続けても違う結果は期待できない」と語った。

 エルサレムを首都と認定して大使館を移す案については「理にかなう」し「説得力がある」と評価し、政府で検討する考えを示した。

 モリソン首相による突然の発表は、ユダヤ人住民が多いシドニーの選挙区で重要な下院補欠選挙を数日後に控えるなかで行われた。モリソン首相の自由党は元駐イスラエル大使を擁立しているが、世論調査では支持率で上位候補に後れを取っている。

 この選挙で敗れると、自由党は過半数割れになる。野党・労働党は「スコット・モリソンは職にしがみつこうと必死になっている。オーストラリアの国益を犠牲にしてでも、さらに数票得られるものなら何でも言おうという構えだ」と批判している。(c)AFP