移民積極受け入れの村、イタリア内務省が全員の移送命令 国内で怒りの声
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【10月15日 AFP】移民問題に揺れるイタリアで、地元活性化のために移民らの積極的な受け入れで注目を浴びてきた村に対し、内務省が移民全員の村外移送を命じたことが明らかになった。極右政党「同盟」を率いるマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相はこの村をモデルとした事業を問題視していた。国内では14日、野党などから一斉に反発の声が上がった。
命令が出されたのは南部カラブリア(Calabria)州のリアーチェ(Riace)村。これまで、イタリアでの移民や難民の統合をめぐり議論の中心となってきた。
移送は当初は強制的なものとされていたが、地元メディアによると内務省関係者は後に「自由意志に基づく移動だ」と修正した。ただし、村に残る移民らは今後「受け入れ制度による恩恵」にあずかれなくなるという。
数十年にわたって人口減少が続いているリアーチェは、再生を図るために移民を受け入れることを決め、世界中で大きく報じられた。
しかし、今年6月にジュセッペ・コンテ(Giuseppe Conte)政権の内相に就任したサルビーニ氏は、リアーチェに触発された事業を削減し、移民らを大規模な収容施設に集めたい意向を表明。自身と党が掲げる「移民ビジネスとの戦い」で象徴的な対象に位置づけてきた。
今月には、移民にとって利益になるように制度を悪用したとしてリア―チェのドメニコ・ルカーノ(Domenico Lucano)村長が逮捕されていた。今回、「リアーチェモデル」と呼ばれる移民支援と地域活性化を組み合わせた政策の打ち切りを内務省が決めたことで、村内に住む約200人の移民が影響を受けるとみられている。
内務省の措置には非難の声が上がっている。野党・民主党のエンリコ・レッタ(Enrico Letta)元首相は「恥を知れ。これはイタリアではない!」とツイッター(Twitter)に投稿。イタリア全国パルチザン協会(ANPI)も「サルビーニを止めろ! 見て見ぬふりをしてはいけない」と呼び掛けた。(c)AFP/Ella IDE