米国で若者の肥満が新たな安全保障上の脅威に、報告書
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【10月14日 AFP】米国防総省がハイテク軍備を増強させる中国やロシア以上に厄介な国家安全保障上の脅威に直面している。その脅威とは、米国の若者たちの間で進む肥満の増加だ。
超党派の非営利団体「強い米国のための協議会(Council for a Strong America)」が先週公表した報告書『Unhealthy and Unprepared(不健康と準備不足)』によると、米国人の若年層の3分の1近くが米軍入隊条件の上限を超える肥満だという。それでなくとも新兵募集に苦戦している米軍関係者にとって、これはかなり気がかりなデータだ。報告書は「肥満はかねて、わが国民の健康を脅かしてきたが、いまや国家の安全保障に脅威を投げ掛けるまでにまん延が進んだ」と指摘する。
米陸軍の先月の発表によれば、2018年の新兵採用数は目標の7万6500人を約6500人下回る見通し。新兵の数が目標に達しなかったのは05年以来だ。米景気の好調で社会が買い手市場になっていることも一因だが、この数字は国防総省の新兵採用対象となる集団が縮小している現実を浮き彫りにしている。国防総省によると、入隊資格を満たさない17~24歳の米国人は71%に上るが、最も多い理由の一つが肥満だ。
退役軍人らのグループがまとめた報告書は「肥満のため入隊不適格とされる米国若年層の割合の高さを考えれば、幼少期から健康的な生活を奨励する施策をとらない限り、引き続き新兵採用は困難なままだろう」と警告。すでに若者の間で入隊への関心が低下している中で浮上した肥満の問題は、とりわけ大きな不安材料だと強調した。
元海兵隊大将のジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官も先月、入隊資格を満たす米国人の集団が縮小傾向にあることに「大きな懸念」を示し、71%もの米国の若者たちが米兵として不適格である状況は「悲しむべき事態」だと語った。(c)AFP /Thomas WATKINS