【10月14日 AFP】欧州F3選手権(FIA European Formula 3 Championship)は13日、シーズン最終戦となるドイツ・ホッケンハイム大会のレース1とレース2が行われ、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の伝説的ドライバー、ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏の息子ミック(Mick Schumacher)が年間優勝を決めた。F1関係者からも「偉大なドライバーの1人」になれる可能性を秘めているとの評価が聞かれ、F1参戦のうわさが過熱している。

 19歳のミックはこの日のレース2で2位に入り、レース3を残して自身初となるF3王者の座を確定させるとともに、F1へのステップアップに必要な国際自動車連盟(FIA)の「スーパーライセンス」の取得条件を満たした。

 ミックは今後について「来年のことは、みんなでこれからじっくり考える。数日中には結論を出したい」とだけ話しているが、F1に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表は、「ミックは自分の力を証明したし、このスポーツで偉大になれる可能性がある」と10代の若者の飛躍を予想した。

 レース終盤のミックは、2位キープと年間タイトル獲得のために集中力を研ぎ澄ませているように見えたが、完走後にはこぶしを突き上げて快挙を喜んだ。トップでチェッカーフラッグを受けた選手を尻目に、注目を一身に集めたミックは、9月に5連勝を飾るなどシーズン後半戦は絶好調だった。

 ミックは「言葉にならない。感謝の気持ちでいっぱいだし、夢の中を生きてるみたいだ」と喜び、「最初からタイトルを目標にしていたし、取れると信じて疑わなかった。僕らドライバーは大好きなことを仕事にできている。その上、成功をつかめたんだから、考えられる限り最高の気分だ」とコメントした。

 父親のミハエル氏のフェラーリ(Ferrari)での5連覇が始まったのが2000年。その前年にあたる1999年3月に生まれたミックは、9歳で始めたカートでレースの世界に足を踏み入れ、そして今回、28年前にドイツF3を制した父親の足跡をたどることになった。以前は余計な注目が集まるのを避けるため、母方の旧姓を使ってミック・ベッシュ(Mick Betsch)の名でレースをしていた。

 シューマッハ氏は2013年12月、フランスのスキーリゾートで、ミックとともにスキーを滑っていた際に頭を激しく打ち、一時は命も危ぶまれた。49歳となる現在はスイスの自宅で療養しているが、事故後は公の場に姿を現していない。(c)AFP