【10月13日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)の選手委員会議長を務めるベッキー・スコット(Beckie Scott)氏が、英BBCとのインタビューで、自身がロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格回復に反対したことによって、同機関の一部から「嫌がらせを受けた」ことを明らかにした。

 クロスカントリースキーの元五輪女王でカナダ出身のスコット氏は先月、WADAの第三者グループであるコンプライアンス審査委員会(CRC)がRUSADAの処分解除を勧告したことを受けて、同委員会のパネルを辞任した。RUSADAは国家ぐるみで薬物検査の不正操作を行っていたことが発覚し、規則を順守していないと認定されて2015年にWADAから資格停止処分を受けていた。

 スコット氏は12日に公開されたBBCのインタビューで、最近の会合において「侮辱的な扱いを受けた」と告白。「それは二つの事柄を示している」と切り出すと、「一つは、アスリートの総意に対して敬意が欠けていること。もう一つは、WADAがリーダー的な立場で五輪ムーブメントに協力していること」と主張した。

 一方、RUSADAの資格回復が決まったことに先月猛反発していた米反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、スコット氏の発言を称賛するコメント文を発表し、国際オリンピック委員会(IOC)がWADAに対して不当に影響を及ぼしていることを示唆した。

「IOCの尻尾は、今やWADAという犬に振られている。それは、クリーンで公平なスポーツにこだわる誰もが見たくない光景だ」「現在のような形でショーを続けてはならない。だからこそ、われわれはアスリートに対して、WADAの改革を推し進めていく中でUSADAが常に選手の立場に立ち、彼らの声に耳を傾けることを明確にしていきたい。そうすることによって初めて、われわれが奉仕するべき人々、すなわちアスリートを代表することになる」 (c)AFP