【10月13日 AFP】トルコの裁判所は12日、同国で2年にわたり拘束されてきた米国人牧師、アンドルー・ブランソン(Andrew Brunson)氏の解放を決定した。同牧師の拘束は、トルコにとって対米関係の危機と経済問題の火種となっていた。

 AFP特派員によると、トルコ西部アリアー(Aliaga)の裁判所はブランソン牧師をテロ関連の罪状で有罪とし、禁錮3年1月15日の刑を言い渡した。その上で裁判所は、未決勾留期間と公判中の素行の良さを考慮し、同牧師の自宅軟禁と渡航禁止を解除。牧師は解放された。

 ブランソン牧師の弁護士がAFPに語ったところによると、牧師はその後、トルコを航空機で出発し、ドイツを経由する帰国の途に就いた。トルコの半国営アナトリア(Anadolu)通信も牧師の出国を確認し、米国への帰還前にドイツに2日間滞在する予定だと伝えている。

 ブランソン牧師は2016年10月に拘束され、テロ組織支援とスパイ活動の罪で最長35年の禁錮刑を科される可能性があった。検察はその後、最長10年の禁錮刑を求刑。裁判所は同牧師をテロ組織構成員とは認定しなかったものの、テロ組織を支援したとして有罪判決を下した。一方、牧師と米当局はすべての罪状で無罪を主張した。

 ブランソン牧師の拘束は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国同士であるトルコと米国に近年でも特に深刻な外交問題を引き起こしただけでなく、トルコ通貨リラの暴落を招き、同国経済の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈した。

 両国間には牧師の拘束以外にも複数の懸案があり、専門家らは、そうした問題は牧師解放だけでは解決しないと警告している。(c)AFP/Fulya OZERKAN