【10月12日 AFP】米ワイオミング州で1998年に同性愛者であることを理由に殺害された米大学生マシュー・シェパード(Matthew Shepard)さん(当時21)の遺骨が、20年を経て首都ワシントンのワシントン大聖堂(Washington National Cathedral)に埋葬されることになった。

 シェパードさんは1998年、2人組の男に連れ去られ、所持品を盗まれて殴打され、牧場の柵に縛り付けられた。発見されるまで18時間放置され、5日後に死亡した。

 シェパードさんの死は全米で大きな非難を巻き起こし、同性愛嫌悪を象徴する事件として当時マスコミなどでも大きく取り上げられた。

 シェパードさんの葬儀には多くの参列者が訪れた一方、同性愛者を嫌悪する人々からは抗議が寄せられた。米メディアの報道によると、このような状況からシェパードさんの両親は遺骨が冒涜(ぼうとく)されることを懸念し、最終的な埋葬地を決めることができなかった。

 ワシントン大聖堂によると、シェパードさんの遺骨は今月26日に一般参列者向けの追悼式と親族向けのセレモニーの後、同聖堂に埋葬される。

 ワシントン大聖堂は公式ウェブサイトで、シェパードさんの死について「世界を震撼(しんかん)させ、教会を悲しませ、性的少数者(LGBTQ)たちを結集させた」と記し、追悼式への参列を呼び掛けている。

 シェパードさんの死を受け米国では2009年、人種や宗教、ジェンダー、性的指向、精神的・肉体的障害などを理由に危害を加える行為を禁止する「マシュー・シェパード、ジェームズ・バード・ジュニアヘイトクライム防止法」が成立した。(c)AFP