【10月12日 AFP】特定の遺伝子が除去されるよう改変した幹細胞を用いて、同性のマウス2匹から生存能力のある子を誕生させたとする研究結果が11日、発表された。

 現在のところ、研究の実用性はほぼ理論の範囲に限定されているが、既存の哺乳類クローン作製法の改良や、ゆくゆくは同性カップルの不妊治療などにも応用されるかもしれない。

 11日の米科学誌セル・ステムセル(Cell Stem Cell)で発表された今回の研究では、同性マウス2匹から子を誕生させる新たな手法の実践に初めて成功した。ただ、これまでにも別の複数の手法での研究は進められていた。

 今回、雌のマウス2匹から誕生した子マウスには子孫も生まれているが、雄のマウス2匹から生まれた子マウスは誕生から48時間しか生存できなかった。

 雄2匹から生まれた子は、同性生殖過程に起因する異常を排除することを目的とする遺伝子操作の複雑な処置も施されていたが、その生存期間は雌2匹から生まれた子よりも短かった。

 同性生殖は研究の道筋としては異色と思われがちだが、多くの生物種では、雌雄のペアが関与しない方法で生殖が可能となっている。

 爬虫(はちゅう)類、両生類、魚類などを含む一部生物種では、単一の親だけで生殖を行うことができるが、哺乳類の場合はこのプロセスがより複雑になる。

 論文の共同主執筆者で、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の周琪(Qi Zhou)氏は、セル・ステムセル誌に「なぜ哺乳類の生殖様式が有性生殖に限定されているのかという疑問に興味を抱いていた」と語っている。

 この研究分野は倫理的にセンシティブだ。遺伝子編集と新しい種類の生殖方法に関する過去の研究でも、人に適用された場合の影響をめぐって懸念が噴出した。