【10月11日 AFP】アイルランド議会は10日、国内で販売されるアルコール飲料にがんのリスクに関する警告文を記載することを義務付ける画期的な法案を可決した。新法はさらにアルコール飲料の最低価格を設定することを取り決めており、アルコール摂取による健康被害のまん延に歯止めをかけることを目指す。

 アイルランドで初めてアルコール摂取を公衆衛生の問題と捉えたこの新法案は、国民の命を救う一助になるとの期待がかかっている。

 同法案は3年前に提起され、飲料業界から激しい反発を受けていたが先週、議会下院で採択され、次いで10日に上院で可決された。今後は、象徴的な手続きとして大統領による承認を残すだけとなった。

 サイモン・ハリス(Simon Harris)保健相は、法案が可決されたこの日を「特別な日」と呼び、「アルコールは健康を害し、コミュニティーを害する。たくさんの家族がアルコールによって傷ついている。この新法はアルコールとわれわれの関係を変えるものだ」と述べた。また、「国民の健康という観点から初めて導入するもので、今後さらに数々の方策を導入し、アイルランドにまん延する飲酒文化に変化をもたらすことを試みる」と語った。

 政府当局が発表した2016年の統計によると、アイルランドでアルコール摂取が原因で死亡する人の数は毎日3人に上っている。

 新法はまた、アルコール飲料の最低単価を設定し、広告活動を制限することを取り決めている。公園やバス停、駅など公共の場でのアルコール商品の広告は禁止される。さらにアルコール摂取とがんの関連性を明記した警告と、カロリー量を商品ラベルに記載することを義務付けている。(c)AFP