【10月10日 AFP】米中貿易戦争の影響で今年、株価が暴落し、数十億ドル分の「紙の資産」が紙くず同然となったことで中国の超富裕層の資産価値が縮小していることが、10日に発表された中国富豪ランキング「胡潤百富(Hurun Report)」で明らかになった。

 20億元(約327億円)を超える純資産を保有する中国人、または中国を拠点とする資産家の数は237人減り、1893人だった。

 同調査によると今年、半数以上の中国人超富裕層の資産は、価値が横ばいか縮小しているという。

 胡潤百富のルパート・フーゲワーフ(Rupert Hoogewerf)会長によると「米中貿易戦争と経済が減速したことを背景」に、「20年前にランキングを開始して以来最多の456人がリストから脱落した」という。

 富豪ランキングから脱落した中には、化学、照明、電気部品などで財を成した富豪の名前が並んでいる。彼らがオーナーを務める企業は軒並み株価が下落。中国からの輸入のおよそ半分に関税を課した米ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権の政策は、中国の製造業に特に打撃を与えた。富豪ランキングでは、製造業出身者が占める割合が昨年の27.9%から26.1%へと減った。

 一方、来年退任する意向を先ごろ明らかにした阿里巴巴(アリババ、Alibaba)のジャック・マー(Jack Ma)会長は390億ドル(約4兆4000億円)へと資産を増やし、昨年初めて1位となった大手不動産開発会社・恒大集団(Evergrande Group)の許家印(Xu Jiayin)最高経営責任者(CEO)から首位を奪還した。

 ただし、馬氏の資産をもってしても、米経済誌フォーブス(Forbes)が先ごろ1120億ドル(約12兆7000億円)と推計した資産を持つ米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏や、著名投資家のウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏、米マイクロソフト(Microsoft)の共同創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏といった米国の大富豪たちには遠く及んでいない。(c)AFP/Ryan MCMORROW