【10月10日 AFPBB News】17世紀にバイオリンの完璧な造形を作り上げたとされるイタリアの名匠アントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari)。「世界最高峰の弦楽器」の代名詞となった「ストラディバリウス」21丁を一堂に集めた「ストラディヴァリウス 300年目のキセキ展(Tokyo Stradivarius Festival 2018 Exhibition)」が、東京・港区の森アーツセンターギャラリー(MORI ARTS CENTER GALLERY)で開催されている。

 同展は、世界に現存するストラディバリウス約600丁のうち、21丁が展示されるという大規模展覧会で、アジアでは前例がないという。ギターやビオラを含む総額210億円のストラディバリウス21丁と、バイオリンの始祖と呼ばれるアンドレア・アマティ(Andrea Amati)や、バイオリン製作で知られるイタリア・クレモナ(Cremona)で工房を開く作家3人のバイオリンが展示されている。

 展示されている21丁は、ストラディバリの生涯93年のうち、製作初期から晩年にかけてそれぞれの時代の代表作だ。中には、マリー・アントワネット(Marie Antoinette)もその音色を聴いたとされる「サン・ロレンツォ」や、バイオリニストの高嶋ちさ子(Chisako Takashima)さん、実業家の前澤友作(Yusaku Maezawa)さんの所有するものもある。

 5年かけて世界各地に散らばる所有者と交渉を重ねたという同展実行委員長の中澤創太(Sota Nakazawa)さんによると、ストラディバリウスの魅力は、一つとして同じ形がないという外観の芸術性の高さや、音の高低だけでなく遠くまで伝えることができる表現力の豊かさにあるという。

「高額な値段に注目しがちだが、バイオリンの歴史をひもといて芸術的価値が分かってもらえるよう展示に工夫した。これを機にバイオリンを聴く人、弾く人が増えると良いと思う」と話した。期間中は演奏会も行われる。15日まで。(c)AFPBB News