英神経剤襲撃、容疑者はロシアの最高勲章受章者 英検証サイト発表
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【10月10日 AFP】英南部ソールズベリー(Salisbury)で今年3月に起きたロシア人元二重スパイ暗殺未遂事件で、英国の検証サイト「ベリングキャット(Bellingcat)」は9日、容疑者の一人について、ウクライナなどで秘密工作に従事し、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領から最高位の勲章を授与されていたことを明らかにした。
ベリングキャットは8日、英政府が事件の容疑者として特定している2人のうち、「アレクサンドル・ペトロフ(Alexander Petrov)」とされる男の身元について、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の熟練した軍医、アレクサンドル・ミシュキン(Alexander Mishkin)とする調査結果を発表していた。
ベリングキャットの創設者エリオット・ヒギンス(Eliot Higgins)氏と研究員のクリスト・グロゼフ(Christo Grozev)氏は9日、英議会で開いた記者会見で、ミシュキン容疑者がウクライナや、モルドバからの分離独立を主張する親ロシア地域「沿ドニエストル共和国」で秘密工作に関与していたことを突き止めたことも公表。
両氏によると、ミシュキン容疑者は2014年秋に、プーチン大統領からロシア最高の栄誉勲章である「ロシア連邦英雄(Hero of the Russian)」も授与されていた。
ベリングキャットの調査結果によれば、ミシュキン容疑者の家族について知る人物らは、勲章の授与はクリミア(Crimea)半島での工作活動か、ビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)元ウクライナ大統領関連の工作活動のいずれかの功績によるものとみているという。
ウクライナの首都キエフでは2014年2月に機動隊とデモ隊が衝突し、当時のヤヌコビッチ大統領はGRUの手引きでロシアに逃亡。同年3月、ロシアはウクライナ南部のクリミア半島を併合した。
ベリングキャットは先にもう一人の容疑者の身元をGRUのアナトリー・チェピーガ(Anatoly Chepiga)大佐と特定している。チェピーガ容疑者も2014年、クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)で最高栄誉勲章を授与されたという。(c)AFP/Pauline FROISSART