【10月9日 AFP】デンマークで昨年、潜水艇の取材をしていたスウェーデン人女性ジャーナリストが、首都コペンハーゲンの沖合で切断遺体となって発見された事件で、この女性を殺害した罪などで終身刑を言い渡されていた発明家の男が、最高裁への上告を断念する意向であることが分かった。男の弁護士が8日、明らかにした。

 一審で終身刑が言い渡されたピーター・マッセン(Peter Madsen)被告(47)は、刑期の短縮を求めて控訴していたが、二審も先月、一審の判断を支持していた。

 デンマーク国内で潜水艇やロケットを自作する発明家として知られていたマッセン被告は、記者として受賞経験もあったキム・ウォール(Kim Wall)さんの遺体を切断して海に遺棄したことは認めたものの、ウォールさんが死亡したのは事故だったという主張を繰り返していた。

 弁護士は、同被告が上訴を断念した理由について「最高裁に上告すれば、面会禁止の期間がさらに延びるだろう」との考えからだと説明した。

 ウォールさんは昨年8月10日、マッセン被告を取材するため潜水艇に乗り込み、その後消息を絶った。検視結果から、ウォールさんは窒息または喉を切られて死亡した可能性があるものの、遺体の腐敗が進んでいることから、はっきりした死因の特定には至っていない。(c)AFP