英紙記者のビザ更新拒否問題、香港行政トップが説明に応じず
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【10月9日 AFP】香港で、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の英国人記者ビクター・マレット(Victor Mallet)氏の就労査証(ビザ)更新が拒否されたことについて、香港行政トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)長官は9日、その理由の説明に応じなかった。同記者のビザ更新拒否は、報道の自由に関わる前例のない問題だとして説明を求める声が強まっている。
FTのアジアニュース編集者であるマレット記者は、8月に香港独立を訴える小規模政治団体「香港民族党(Hong Kong National Party)」の陳浩天(アンディ・チャン、Andy Chan)代表を招いた講演会を断行して、中国および香港当局の怒りを買った。その後同党には活動禁止命令が出され、マレット記者は就労ビザの更新を拒否された上、7日になって7日以内の退去を求められた。
マレット記者のビザ更新拒否の事実が先週公になってから初めて記者らの質問を受けた林鄭長官は、決定を下したのは入境管理当局であり、これを陳氏の講演会と関連付けるのは「まったくの臆測にすぎない」と切り捨てた。
さらに、行政も入境管理当局も、「ある事例の個々の状況や決定に至る審査内容は一切公表しないというのが、香港だけでなく国際社会全体の原則だ」と指摘した。
その一方で政府は「香港独立の提唱や、国家の安全、領土の一体性、開発利益を損なういかなる事項も容認しない」と断言した。
香港独立派の活動家の取材や、香港独立に関する記事の執筆は今後処罰の対象になるのかとの質問については、指針を示すことはできないとしながらも、報道と表現の自由は「これまで通り香港の中核的な価値だ」と強調した。
マレット記者のビザ更新拒否と、今回の問題が報道の自由に与える影響をめぐっては、これまでに英米が懸念を表明している。(c)AFP