消されそうなアートを守れ 香港民主化デモ「雨傘運動」で生まれた作品、大英博物館へ
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【10月27日 AFP】2014年に香港で起きた民主派による大規模デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」の期間中に描かれたスケッチが、英ロンドンの大英博物館(British Museum)に飾られている。同博物館で開催中の展示会「I Object(私は異議を唱える)」は、雨傘運動の時に制作されたアート作品の実物を、目にすることができる貴重な機会だ。
4年前の9月28日に始まった雨傘運動のデモは、3か月近くにわたり続いた。普段は渋滞している商業地区の道路は、デモ隊のテントに占拠され、街は機能停止に陥った。
デモ隊が野営していた道路、周りの壁、橋を埋め尽くした何千ものポスター、横断幕、絵、彫刻、祭壇、風刺画は集められ、インターネットや図書館に保管されている。だが、実物の多くは、目に見える場所から消えてしまった。
特別行政区として半自治権を有する香港に対し、分離独立を掲げる政党の活動を禁止したり、雨傘運動のリーダーたちを起訴したりして、中国政府は締め付けを強化している。言論の自由が脅かされているとの懸念もあり、雨傘運動中に創られた作品を、より安全な海外に移す人も出てきた。
方蘇(Fong So)さんは、抗議活動のスケッチを描いた地元アーティストの一人だ。雨傘運動をスケッチした自身の作品100点以上は、すべて大英博物館に寄贈した。
方さんの作品は現在、変化を求め伝統的な見方に反対した人びとの作品を集めた大英博物館の展示会「I Object」に飾られている。展示会にはこのほか、匿名の人物から寄贈された、ジョン・レノン(John Lennon)の「イマジン(Imagine)」の歌詞が印刷された黄色い傘も展示されている。黄色い傘は、雨傘運動のシンボルとなっていた。
方さんは、AFPの取材にこう語った。「このスケッチのコレクションは、現代史の一部を記録したものだと考えている。だから、博物館で保管されるのがふさわしい」 (c)AFP/Laura MANNERING