【10月5日 AFP】中国で製造され米国で使用されているコンピューター機器にコメ粒大のチップが組み込まれ、米テクノロジー部門の機密情報を盗もうとする中国政府の広範な活動の中で利用されていたと、米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)が4日報じた。

 ブルームバーグによると、このチップはコメ粒ほどの大きさで、米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)と米アップル(Apple)向けに製造された機器に組み込まれていたという。他の企業や政府機関向けの機器にも使われた可能性がある。米当局にはアマゾンが最初に通報したという。

 ブルームバーグによれば、3年前から秘密裏に行われ現在も継続中の調査で、コンピューター機器に「隠れた出入り口」が設けられていたことが判明。ハードウエアを用いる侵入手法はソフトウエアを用いる手法よりも効果的で、検知されにくいとされる。

 匿名の米当局者の話としてブルームバーグが伝えたところによると、中国人民解放軍の部隊が関与して米国のコンピューター機器製造企業スーパーマイクロ・コンピューター(Super Micro Computer)向けに中国で製造された製品に問題のチップが組み込まれていた。スーパーマイクロ・コンピューターは、米国防総省のデータセンターや中央情報局(CIA)の無人機を使った作戦、海軍艦のネットワーク向けの機器も製造したという。

 ブルームバーグによると、アマゾンはソフトウエア企業エレメンタル(Elemental)の買収に当たり、スーパーマイクロ・コンピューターがエレメンタル向けに製造した機器の安全性点検を実施した際に問題に気付いた。

 問題のチップは、アップルや、アマゾンのクラウドコンピューティングサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」などのデータセンターで用いられるコンピューターの中枢部品であるマザーボード向けに設計されたものだという。

 アップルは「どのサーバーにも、悪意をもって埋め込まれたチップや、ハードウエアの変造、あるいは意図的に仕込まれた脆弱(ぜいじゃく)性は見つかっていない」と表明した。

 アマゾンはAFPに対し「われわれは過去または現在のいかなる時点においても、エレメンタルやアマゾンのシステムで使われているスーパーマイクロ社のマザーボードで、変造されたハードウエアや悪意あるチップに関わる問題を発見していない」と述べた。(c)AFP