ペソ急落のアルゼンチン、貧困層の困窮 より深刻に
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【10月7日 AFP】アルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)にある貧困地区「ビジャ・サバレタ(Villa Zavaleta)」では、直近の経済の混乱よりも以前から、人々は日々の食べ物を入手するのに多大なる苦労を強いられてきた──。
ごみと排泄物が目につく通りでは、犬が牛の顎骨をかじり、麻薬中毒の女性がふらふらと歩き回っている。1200世帯が住むこの街では、麻薬密売人と麻薬常習者の問題も常態化している。
ブエノスアイレスの全ての貧困地区を対象に支援活動を行っている慈善団体「ラ・ポデロサ(La Poderosa)」のアレハンドラ・ディアス(Alejandra Diaz)代表は、「多くの人々は職を失った。私たちが頼れるものはあまりない。連帯感とパートタイムの仕事だけ」とAFPの取材に語る。
ビジャ・サバレタの約9割の住民は、貧困状態にあえいでいる。まともな仕事に就いているのは10%程度で、その多くはごみ処理施設で働いている。
市内イリアルト大通り(Iriarte Avenue)で飲食店「ネリーズ・ダイナー(Nelly's Diner)」を経営するネリー・バルガスさん(60)は、ボランティア16人とともに日々300食以上の食事を無料で提供している。
バルガスさんは、「ここ数か月、人の数がどんどん増えている。物価の急上昇とともに、牛乳やパスタ、砂糖といった日用品すら入手できない人たちは増える一方」と話す。彼女は、温かい笑顔や励ましの言葉をかけながら、訪れる人々に食事を渡す。
こうした状況を招いている主な要因は、年内に40%にも達すると予想されているインフレだ。ドルに対するペソの価値は、今年初めから大きく落ち込んだ。
バルガスさんは目に涙を浮かべながら、「時々、食べ物が全員に行き渡らないことがある」と述べ、その状況がいかに厳しいものであるかを説明した。
ラ・ポデロサのディアスさんは、「彼女は、近所の人々にとても良くしてくれる」「親が麻薬中毒で、あまり愛情をもらえていない子どもたちを集め、入浴させたり、服を提供したりしている。彼女はとても心の広い人」とバルガスさんについて語った。