ノーベル物理学賞、55年ぶりに女性受賞 D・ストリックランド氏
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【10月3日 AFP】カナダ人物理学者であるダナ・ストリックランド(Donna Strickland)氏が、早朝の電話でノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)受賞の知らせを受けたとき、彼女は驚きを隠しきれなかった。2018年のノーベル物理学賞は、米国人のアーサー・アシュキン(Arthur Ashkin)氏(96)、フランス人のジェラール・ムル(Gerard Mourou)氏(74)、そしてストリックランド氏の3人に授与されることが2日、発表された。
ストリックランド氏は今回、物理学界で名声をもたらしたレーザーパルスに関する先駆的研究で、科学者として最高の権威ある栄誉を獲得した。授賞の決定も驚きだったが、100年を超えるノーベル物理学賞史上で、わずか3人目の女性受賞者となったことも彼女にとっては予想外のことだった。
スウェーデン・ストックホルムのスウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)に集まった人々に対し、ストリックランド氏は「本当に、たったそれだけ?」と思わず質問を投げかけた。「そうですか。もっといるかと思ったのですが…」
ストリックランド氏は今回、ノーベル物理学賞55年ぶりの女性受賞者となり、世界の女性科学者らが成し遂げた「限界を押し広げる仕事」に目を向けさせようとする多くの専門家たちからも称賛を得た。
英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のロイシン・オウエンス(Roisin Owens)氏(生化学)はAFPの取材に「女性たちはあらゆる分野ですばらしい研究をしている」と語った。そして、歴史的に見て、研究分野に従事する女性は男性と比べてはるかに少ないのは事実だが、科学界はこの分野での人口構成の変化に目を覚ますべきだと主張した。
1901年以降、ノーベル委員会が授与した112の物理学賞のうち、女性の受賞者は1903年のマリー・キュリー(Marie Curie)氏と、1963年のマリア・ゲッパート・メイヤー(Maria Goeppert Mayer)氏のみとなっている。