トランプ氏に脱税ほう助疑惑、470億円の資産不正受領か NY州が調査
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【10月3日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は2日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が1990年代に両親の脱税を手助けし、父親の不動産事業から従来の説明よりもはるかに多い資産を受け取っていたと報じた。受け取った資産額は現在の貨幣価値に換算して4億1300万ドル(約469億円)相当に上るという。報道を受けて、ニューヨーク州の税務当局はこの疑惑について調査に乗り出した。
トランプ氏はことあるごとに、ニューヨークの不動産デベロッパーだった父親のフレッド(Fred Trump)氏の支援をほとんど受けずに、自身の財産を築いたと主張してきた。
しかしニューヨーク・タイムズは、確定申告書や機密資料など膨大な資料を調べ上げた結果、トランプ氏の主張は真実ではないことが分かったと報道した。
同紙によると、トランプ氏は1990年代、複数のあからさまな不正行為を含む不明朗な租税回避の仕組みに関わり、両親から受け取る財産を大幅に増やした。
トランプ氏は3歳まで、父親の不動産事業から現在の貨幣価値に換算して20万ドル(約2270万円)を毎年受け取り、8歳にして資産は100万ドル(約1億1360万円)を超えていた。
大学卒業後まもなく、父親から受け取る金額は年100万ドル相当となった。この額は年々増加し、40~50歳代には年500万ドル(約5億6790万円)以上を受け取るようになった。
ニューヨーク・タイムズは「トランプ氏が両親の脱税をほう助したために、この金額の大半はトランプ氏のものとなった」「トランプ氏とそのきょうだいたちは両親からの100万ドル単位の贈与を隠匿する目的で、ダミー会社を設置した」と報じている。
さらにトランプ氏は「父親による数百万ドル以上に上る不正な税控除をほう助した」ほか、確定申告によって両親の不動産保有額を実際よりも数億ドル少なく見せ掛け、納税額を大幅に圧縮する計画の立案にも関わった。
それぞれ1999年と2000年に亡くなったトランプ氏の両親のフレッド氏とメアリー(Mary Trump)氏は、10億ドル(約1136億円)以上の財産を5人の子どもたちに譲渡したとされる。
トランプ氏ときょうだいたちは合計で少なくとも5億5000万ドル(約625億円)を納税しなければならないはずだが、5220万ドル(約59億円)しか納めなかった。
■トランプ氏側は疑惑否定
トランプ氏は記事に対するコメントを拒否した。トランプ氏の弁護士、チャールズ・ハーダー(Charles Harder)氏は「ニューヨーク・タイムズが報じた詐欺・脱税疑惑は100%虚偽で、ひどい中傷だ」「不正行為や脱税などには誰も手を染めていない。ニューヨーク・タイムズの報道は極めて不正確な虚偽の主張に基づいている」と非難した。
一方、ニューヨーク州税務当局の広報担当者は、AFPの取材に対し「ニューヨーク・タイムズの記事にある疑惑について調べており、適切な手段を総動員した調査を鋭意進めている」と明らかにした。(c)AFP