【10月1日AFP】米ディズニー(Disney)の新作長編アニメ映画『シュガー・ラッシュ:オンライン(Ralph Breaks the Internet)』が、11月の公開を前に「予期せぬ理由」で注目を集めている。

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 同作品は、大ヒット映画『シュガー・ラッシュ(Wreck-It Ralph)』の続編。ここに登場する唯一の黒人キャラクターのティアナ姫(Princess Tiana)の描写をめぐり、同社に抗議の声が殺到したのだ。

 2009年のディズニー映画『プリンセスと魔法のキス(The Princess and the Frog)』で初めて登場したティアナ姫は、新作映画の中ではほんの少ししか登場していない。だが、予告編に登場したティアナ姫は、肌の色が元の作品よりも明るくなり、顔のつくりにも変更が加えられていたのだ。

 この変更に対して、ソーシャルメディアでは抗議の声が上がった。こうした批判の高まりを受け、同社はティアナ姫を描き直したとされるが、公開まで2か月を切る中でのこうした決定は異例だ。米国では感謝祭の休暇に合わせて11月21日に公開予定となっている。

 ディズニーは公式なコメントを出していないが、黒人擁護団体「カラー・オブ・チェンジ(Color Of Change)」のブランディ・コリンズデクスター(Brandi Collins-Dexter)シニア・キャンペーン・ディレクターは、ディズニー側の再描写を確認しているという。同団体は、米ハリウッド(Hollywood)作品で、黒人キャラクターが正しく描写されることを求めて活動を行っている。

 コリンズデクスター氏はAFPの取材に対し、「『シュガー・ラッシュ:オンライン』に登場するティアナ姫の外見を、ぽってりとした唇、黒い肌、黒い髪の毅然とした黒人プリンセスに再修正するというディズニーの決定は、私たちの勝利だ」と述べた。

 さらに「ディズニーは、カラー・オブ・チェンジのメンバーや黒人コミュニティーの懸念を考慮し、その払拭(ふっしょく)に取り組む姿勢を示した」と付け足した。

■ティアナ姫の声を担当したアニカ・ノニ・ローズさんも驚き

『シュガー・ラッシュ:オンライン』は、アーケードゲームの悪役からヒーローに転じたラルフと友人のヴァネロペが、インターネットの世界を見つけて新たな冒険に旅立つというストーリー。

 当初の予告編には、ヴァネロペが、白雪姫(Snow White)やシンデレラ(Cinderella)、アリエル(Ariel)、ジャスミン(Jasmine)、モアナ(Moana)、ティアナ姫といったディズニー映画のプリンセス全員と対面する印象的なシーンがあり、ティアナ姫は最初、黒い肌にロングドレスをまとった姿で登場する。だが、後のパジャマパーティーのシーンでは、彼女の肌の色が明らかに薄くなっており、鼻は細く、髪はゆるくカールしていた。

 2009年の作品と新作の両方でティアナ姫の声を担当したトニー賞(Tony Award)受賞女優のアニカ・ノニ・ローズ(Anika Noni Rose)さんも、インスタグラム(Instagram)で驚きをあらわにした。

 ローズさんは、「この夏に新しい映像が公開された時には、彼女の肌の色は薄く、顔立ちもシャープでとても違って見えた」「私も、彼女(ティアナ)や私のファンの大半と同じように驚いた」と書き込み、「私と私のチームは、すぐにスタジオに電話をかけてこのビジュアル的な変更について話をした。そして、3週間前に『シュガー・ラッシュ』の制作チームや1作目のアニメーターだったマーク・ヘン(Mark Henn)氏らを含む関係者らと直接会ってミーティングをした」と、明らかにしている。(c)AFP/Javier TOVAR