EUが対アジア新戦略立ち上げへ、中国の「一帯一路」に対抗
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【9月28日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が掲げる大経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」に対する疑念が高まる中、欧州連合(EU)は他国に返済不能な融資を負わせないことを売りとした、アジア向けの代替戦略を立ち上げようとしている。
EU加盟国は来月開催されるアジア欧州会議(ASEM)の首脳会合に合わせ、交通や物流、デジタルやエネルギー資源調達網の整備を強化し、環境や労働基準の導入の推進も目的とした新たな「アジアとのつながり戦略」を策定する見通しだ。
EUは対アジア新戦略について他の国や組織を意識したものではないと主張しているものの、中国が融資する巨額の資金によって各国に鉄道や道路や港湾を建設する「新シルクロード構想」は、一時の輝きを失いつつある。
EUのフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障上級代表(EU外相)によると、この新戦略は数か月前からアジア各国と協議が進められており、多くの国が「欧州流の考えに関心を示している」という。
モゲリーニ氏は記者会見で、「われわれの構想は地域社会に雇用を創出し、経済成長を実現し、そして地域の利益となることを目的としている」「この構想が他のものと違いがあるのかについてあえて言うつもりはないが、これはわれわれ独自の案だ」と述べた。
欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長はこれまで、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の「米国第一主義」のみならず、アジア・アフリカへの中国の積極的な関与にも対抗できるよう、EU経済の影響力に見合ったさらに力強い外交戦略を推し進めるよう呼び掛けていた。
オランダのクリンゲンダール研究所(Clingendael Institute)に所属するEU・アジア関係の専門家、マーイケ・オカノヘイマンズ(Maaike Okano-Heijmans)氏によると、中国のソフトパワー戦略への対応の遅れについて一部でEUを批判する声も上がっており、新たな戦略は「非常に重要な一歩」だという。
オカノヘイマンズ氏は「中国の資金力に対抗できるものはいない」としながらも、EUの対アジア戦略について「未来の展望がないと批判されることはもうない。問題はいかにしてこれを一部の国の真の代替案とするかだ。この構想には資金が必要だ。とにかくたくさんの資金がかかる」と指摘した。