【9月27日 AFP】米国で睡眠、運動、画面を見る時間について、推奨時間を満たしている子どもが20人に1人にとどまる一方、3項目すべてで推奨時間を満たしていない子どもが3分の1近くに上るとの研究結果が、27日の医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス(The Lancet Child & Adolescent Health)」に掲載された。

 研究は、全米20か所の8~11歳の子ども4520人を対象に行われた。調査対象となった子どもがテレビ、携帯電話、タブレット、コンピューターの画面を見る時間は、1日平均3.6時間で、推奨されている2時間以内のほぼ倍だった。

 研究では、睡眠時間があまりにも短く、画面を見る時間が長いことは、言語能力、記憶力、タスク完了能力など認知能力の低下と明らかに関連していることが判明。研究の主筆を務めた東部オンタリオ小児病院研究所(Children's Hospital of Eastern Ontario Research Institute)のジェレミー・ウォルシュ(Jeremy Walsh)氏は、「子どもが娯楽のために画面を見る時間が2時間を超えると、認知能力の発達の低下につながることが分かった」と説明した。

「今回の発見に基づき、小児科医、親、教育関係者、政治家は、小児期と青年期の子どもたちが娯楽目的で画面を見る時間を制限し、健康的な睡眠習慣が確保できるよう優先的に取り組むべきだ」

■カギは「画面見る時間」

 ウォルシュ氏率いる研究チームは、子どもたちの認知能力を調べる6種類の試験を実施。結果に影響を与える可能性がある世帯収入、思春期の発育状況などの要素を調整してまとめた。

 その結果、推奨されている睡眠、運動、画面を見る時間のいずれをも満たしていない子どもは30%近くに上り、1項目のみ満たしている子どもは40%あまり、2項目が25%で、3項目すべての推奨時間を満たしていた子どもは5%にすぎなかった。

 十分な睡眠を取っていた子どもは半数、画面を見る時間が推奨時間内だった子どもは37%、推奨されている運動時間を満たしていたのは18%だった。

「推奨時間を満たしている項目が多い子どもほど、認知能力は高かった」と研究は結論付けている。また、画面を見る時間が3項目のうちで最も重要な要素であることも判明したという。

 これ以前の研究では、運動時間の欠如と認知能力試験の結果には相互関係があるとされていたが、今回の研究ではそのような相互関係は確認できなかった。

 最近実施された調査で教師の多くが、スマートフォンは子どもの集中力を損ない、授業の妨げとなっていると指摘している。フランスでは3歳未満の子どもにテレビを見せないよう勧めている。また、米国の小児科医は、少なくとも1歳半までは子どもに画面を見せないよう提唱している。(c)AFP