マイケル・コース、21億ドルで「ヴェルサーチ」買収確定
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【9月26日 AFP】「マイケル・コース(Michael Kors)」は25日、イタリアの有名ブランド「ヴェルサーチ(Versace)」を買収すると発表した。「マイケル・コース」は昨年人気シューズブランド「ジミー チュー(Jimmy Choo)」を買収しており、ファッション業界の大リーグに益々食い込んでいくことになる。
米国にルーツを持ち、本社を英国ロンドンに構える「マイケル・コース」は声明で、21億ドル(約2371億3200万円)で買収すると発表。
「『ヴェルサーチ』を我々のラグジュアリーブランドグループに迎えることができとてもうれしいです。今後の成長に全力で取り組みます」と「マイケル・コース」のジョン・アイドル(John Idol)CEOは声明で述べ、「我々のリソースを導入することで、『ヴェルサーチ』の収益は20億ドル(約2258億2000万円)増加するでしょう」と付け加えた。また、「『マイケル・コース』と『ジミー チュー』の強み、そして『ヴェルサーチ』の取得により、今後何年も収益と売上の増加を実現できます」
アイドル氏は、「ヴェルサーチ」グループのアーティスティック・ディレクター兼副社長であるドナテッラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)氏について、今後もクリエイティブ面でブランドをけん引していくとし、彼女の「アイコニックなスタイル」が「『ヴェルサーチ』のデザインの審美眼の核である」と語った。
ドナテラは、この買収は「『ヴェルサーチ』の長期的成功には不可欠なものだった」し、「明確なビジョンを持ち、力強く熱心なリーダーとして敬服してきた、ジョン・アイドル氏が率いるグループに加わることを楽しみにしている」と声明で述べた。
■バッグに時計、フレグランスも
バッグや時計、フレグランスと幅広く展開する「マイケル・コース」は、「ヴェルサーチ」の世界中の店舗数を、50%増加の300店に増やし、アクセサリーとフットウェアの収益を35%から60%に引き上げるとした。
今回の買収は、2017年に14億ドル(約1580億7400万円)で「ジミー チュウ(JIMMY CHOO PLC)」を取得して以来となる。この買収により「マイケル・コース」は、世界的に様々なラグジュアリーブランドを展開する、仏パリを拠点とする「LVMH」や「ケリング(Kering)」、スイスの「リシュモン(Richemont)」などに並ぶことになる。
24日、「マイケル・コース」の株は8.2%、66.71ドルに下落した。
また「ヴェルサーチ」を取得することにより、「マイケル・コース」グループの収益は長期的には80億ドル(約9032億8000万円)増加する見込みで、地域的ポートフォリオを多様化し、さらにアジア市場に押し入ることになると「マイケル・コース」は発表。
買収が確定したことにより、マイケル・コース・ホールディングス(Michael Kors Holdings Limited)はその名前を「カプリ・ホールディングス(Capri Holdings Limited)」に変更する。長年ジェット族を惹きつけるイタリアのナポリ湾(Bay of Naples)にあるカプリ(Capri)島にインスパイアされた名前だ。
■アジアへの拡大
メデューサのロゴで知られる「ヴェルサーチ」は2014年、米国の投資ファンド運用会社「ブラックストーン(Blackstone)」に株式の20%を売却。残りは家族が保有している。
今後もブランドに残る「ヴェルサーチ」のジョナサン・エクロイド(Jonathan Akeroyd)CEOは25日、2年前にブランドに加わって以来「ブランドの地位と、世界中で得られているブランドの認識にテコ入れすることに注力してきた」とし、これにより「各地域で大きな成長をみせた」と明かした。
「マイケル・コース」は1981年創業。ニューヨーク州ロングアイランド(Long Island)出身のデザイナーの名を冠しており、ミシェル・オバマ(Michelle Obama)やメラニア・トランプ(Melania Trump)などの衣装を担当している。
一代で成功を手にした59歳のデザイナー、マイケル・コースは今もクリエイティブ・ディレクターとして活躍。ブランドは浮き沈みの激しい歴史をこれまで辿って来た。1993年に破産保護の手続きを行ったが、LVMHによる初期投資によって立て直すことに成功。2011年にニューヨーク証券取引所に再上場した。
調査会社グローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)のニール・サンダース(Neil Saunders)氏は、買収と社名変更には同グループのラグジュアリー市場で大手企業の仲間入りを示唆しているとし、欧州とアジアを中心により良い国際的経営力を得るとした。
しかし、「ヴェルサーチ」がいくらアイコニックでハイプロファイルであっても、さらに成長させるには「時間とお金が掛かる」と忠告した。「カプリ・ホールディングスは今後、個々のブランドの集合としてではなく、各ブランドの資源を活用する方法を見つけていく必要がある」(c)AFP/Ben PERRY