【9月30日 AFP】オーストラリア・シドニーの繁華街ポッツポイント(Potts Point)で小さな店を営むサラ・フリーマン(Sarah Freeman)さんは、ファストファッション中毒の人々に少し立ち止まって考えるよう呼び掛けている。

 古着が大好きなフリーマンさんは、オーストラリアの人々が安い服を買っては捨てる、その速さに衝撃を受けた。「現代社会は服をコンドームのように扱っている。1度身につけたら捨ててしまう」とAFPに語った。そこでフリーマンさんは、図書館にヒントを得て、消費者が服を買わずにレンタルできる「洋服の図書館(Clothes Library)」を開いた。

「こんなふうに洋服をデザインすべきではない。今どきの服は6回しか着られない作りになっている。ひどい話だ」

 米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)によると、2000年から2014年にかけ、衣料品の生産量は倍増し、消費者が毎年購入する衣料品の数は1.6倍と急増した。

 オーストラリアを含め世界でアパレル産業が活況なのは、ファストファッションが一因だ。ファストファッションは、ファッションショーで発表されたデザインをまね、素早く低価格または超低価格で、便利なオンラインで販売する。

 市場調査会社IBISワールド(IBISWorld)の報告書によると、オーストラリアは1人当たりの衣料品需要が最も高い国の一つで、ファストファッション部門は過去5年で19.5%拡大し、2017~18年の市場規模は18億豪ドル(約1480億円)に達した。

 英調査会社ユーガブ(YouGov)の最近の調査では、オーストラリア人のほぼ4人に1人が1回着ただけで服を捨てたことがある、10人に4人が不要な衣類をごみ処理場に送られるごみとして捨てたことがあると回答した。

 衣服のリサイクルをしている社会奉仕団体「聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ会(St Vincent de Paul Society)」のシドニー配送センター責任者を務めているジョージ・ブレイクリー(George Blakely)氏は、ここ数年、寄付される衣服の寿命が短くなっていると指摘する。中には2、3回の洗濯で着られなくなるものもあるという。