【9月24日 AFP】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)問題で、国連の(UN)調査団が先週、ミャンマー国軍の高官らを「ジェノサイド(大量虐殺)」の罪で訴追するよう求めたことを受け、同軍のミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)総司令官は、国連にミャンマーの主権に干渉する権利はないとはねつけた。

 調査団は国連安全保障理事会(UN Security Council)に対し、軍高官らの関与をめぐり国際刑事裁判所(ICC)への付託を要請。またミャンマーは2011年に民政移管したとはいえ、軍が依然強い影響力を握っており、軍は政治から手を引くべきだと訴えた。

 軍機関紙ミャワディ(Myawady)によると、総司令官は23日に軍向けの演説の中で、いかなる国、組織、団体にも「一国の主権について干渉したり決定を下したりする権利」はないと指摘。さらに、「内政に介入する協議は誤解を招く」と警鐘を鳴らしたという。国連調査団による提言以降、総司令官が自身の見解を公に示したのはこれが初めて。

 同調査団が1年半かけてまとめた444ページに及ぶ報告書には、ロヒンギャに対する残虐行為が詳述されており、殺人、レイプ、放火、拷問などの残虐行為に及んだのはミャンマー治安部隊だと結論付けている。

 昨年8月に同治安部隊がロヒンギャ掃討に乗り出して以降、70万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに避難。両国は帰還交渉で合意に至ったものの、ロヒンギャの人々はミャンマーに戻ることを今なお恐れている。

 軍はほぼ全ての残虐行為を否定し、ロヒンギャに対する取り締まりは過激派を一掃するための合法的な手段だと主張している。(c)AFP