「セサミ」のバートとアーニーは「仲の良いカップル」 脚本家が発言後に撤回
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【9月19日 AFP】米国生まれの子ども向けテレビ教育番組「セサミストリート(Sesame Street)」のキャラクター、バート(Bert)とアーニー(Ernie)はパペット(操り人形)にすぎないかもしれないが、それでも人々は長年にわたって、親友以上の関係にあるのではないかと推測してきた。
1981~90年にセサミストリートの脚本を担当したマーク・サルツマン(Mark Saltzman)氏は今週、米LGBT情報サイト「Queerty」のインタビューで、ルームシェアをしているバートとアーニーについて、実は「仲の良いカップル」として描写していたことを認めたかに見えた。
だが、セサミストリートの制作者はこれを打ち消し、バートとアーニーは性的関係にはなく、性的指向もないと強調。後にサルツマン氏は「カップル説」を撤回した。
サルツマン氏はインタビューで、バートとアーニーの関係は自身と映画編集者のアーノルド・グラスマン(Arnold Glassman)氏の長年の関係に基づいたものだったと語った。
同氏は「『セサミストリート』に出会ったとき、私はすでにアーニー(グラスマン氏)と一緒だった。だから彼らを描くとき、仲の良いカップルとしてしか描きようがなかったと思う」と回想した上で、バートとアーニーのやり取りについて、自身とグラスマン氏のやり取りにそっくりだったとも明かした。グラスマン氏は2003年に死去するまで、20年以上にわたってサルツマン氏のパートナーだった。
しかし、セサミストリートを制作する非営利団体セサミ・ワークショップ(Sesame Workshop)は、バートとアーニーの関係について、プラトニックなものにすぎないと強調した。
セサミ・ワークショップは「普段から述べているように、バートとアーニーは親友同士です。彼らは小学校入学前の子どもたちに、自分とまったく違う人とも仲の良い友達になれることを教えるために生み出されました」「彼らは男性キャラクターという設定で、(セサミストリートのキャラクターの大半と同様)人間らしい特徴や特性を備えてはいますが、あくまでパペットにすぎず、性的指向はありません」と明言した。
今回のサルツマン氏の最初の発言は、バートとアーニーについて「カミングアウト」したかのようだったが、架空のキャラクターの性自認が話題となったことは以前にもある。
「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズの原作者J・K・ローリング(J.K. Rowling)氏は2007年にメインキャラクターの一人、魔法学校のアルバス・ダンブルドア(Albus Dumbledore)校長はゲイだと発言したことがある。この暴露に多くの読者は驚かされたが、作中にダンブルドア校長の性的指向を示す描写はないと指摘する声も多く上がった。
一方、バートとアーニーの関係について、セサミストリートの視聴者らは長年、疑問を抱いてきた。
同性愛者の権利向上を訴える活動家のレアー・スコット(Lair Scott)氏は2011年に、同性愛者を受け入れることについて子どもたちに教えるためにとして、バートとアーニーの結婚式を番組内で挙げるよう求めるオンライン署名を立ち上げ、約7600人の署名を集めた。これをきっかけに議論が繰り広げられ、さらにバートとアーニーの結婚に反対する署名運動も立ち上がったが、賛成派ほどの署名は集められなかった。(c)AFP/Issam AHMED