カナダの「オピオイド危機」、死者8000人に 公衆衛生当局
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【9月19日 AFP】カナダでは今年の1~3月、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取が原因とみられる死者の数が1000人を超えた。同国の公衆衛生当局が18日、明らかにした。この公衆衛生危機が発生した2016年以来の死者は8000人に達した。
公衆衛生当局は「オピオイド危機がいまだ沈静化に向かっていないことを、最新データは示唆している」と注意を促し、「特定の人々や地域に他より大きな影響が及んでいることは明らかだが、危機的状況はあらゆる階層の人々、あらゆる年代層、あらゆる社会経済的背景に影響を及ぼしている」ことを指摘した。
強力な鎮痛薬フェンタニルに主に起因する過剰摂取死はこれまで、麻薬常用者に集中していた。だが現在では、処方された鎮痛薬を常用するようになり、街角で入手可能な麻薬や他の薬物にも手を伸ばす人や、娯楽用薬物を初めて試すような人にも、オピオイド危機の影響が及んでいる。
公衆衛生当局によると、カナダ最西部のブリティッシュコロンビア(British Columbia)州とアルバータ(Alberta)州での被害が最も深刻だという。こうした事態に対処すべく、当局は、過剰摂取の緊急治療薬ナロキソンのキットを広く配布するなど、オピオイド関連死者数の抑制を目指す取り組みを本格化させている。
他方で、処方件数が急増している鎮痛薬「トラマドール」についても、オピオイドの一種として規制することが検討されている。カナダ保健医療情報研究機関(CIHI)が発表したオピオイドの処方傾向に関する分析によると、トラマドールの処方件数は2012年~2016年の期間に30%増加したとされる。
北米にまん延するオピオイド危機をめぐっては、過剰処方や密売への鎮痛薬の流用がその原因として広く指摘されている。(c)AFP