【9月18日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が求職中の若者に対し、レストランの仕事や建設業など求人需要が高い業種なら簡単に見つかると助言し、無神経だと批判を受けている。果たして、マクロン氏の発言通り、「通りを渡る」だけで本当にパリのレストランで働き口が見つかるものなのだろうか。

 マクロン大統領はエリゼ宮(Elysee Palace、仏大統領府)の一般公開日だった15日、庭園師として働きたいが仕事が見つからないという男性(25)と言葉を交わし、その様子を撮影した動画がソーシャルメディアで拡散した。

 男性が「履歴書を何通も送っているが、まったく職に結び付かない」と話すと、マクロン氏は、カフェやレストランが多いパリのモンパルナス(Montparnasse)地区へ行くよう勧め、「ホテルやカフェ、レストラン、建設業で働きたい意欲とやる気があれば、私が行く場所で人を探していないなどと言うところは一つもない」と発言し、こう続けた。

「私なら、あの通りを渡れば、きっと君に仕事を見つけてあげられる」

 2人は握手で会話を終えたが、元投資銀行家であるマクロンのこの発言に対し、左派からはすぐに批判の声が上がった。マクロン氏の人を見下した態度や一般人の感覚と懸け離れていることなどが指摘された。

 仏日刊紙リベラシオン(Liberation)は、貧困にあえぐ民衆に向かって「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と言ったとされている仏王妃マリー・アントワネット(Marie Antoinette)を引き合いに出した。

 マクロン氏は2017年5月、景気回復を公約に掲げて仏史上最年少の大統領に就任したが、財界優先の政策を推進する一方で失業率はいまだに改善されていない。そして9.1%に上る失業率を引き下げようと、失業者に対して異業種への転職を促しているのだ。