【9月15日 AFP】英南部ソールズベリー(Salisbury)で起きたロシア人元二重スパイの暗殺未遂事件で、英政府が容疑者と断定したロシア人2人が現場を訪れたのは観光目的だったと説明し、事件への関与を否定している問題をめぐり、14日、普段は愛国的なロシアメディアまでもが疑問の声を上げた。

 ロシア政府系テレビ局「RT」が13日に放映したインタビューの中で、アレクサンドル・ペトロフ(Alexander Petrov)とルスラン・バシロフ(Ruslan Boshirov)とされる2人の男性は、ロシア人元スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘ユリア(Yulia Skripal)さんが神経剤で襲撃された事件とは無関係と主張。英国を訪れた理由について、元スパイを神経剤で暗殺するためではなく、ゴシック様式のソールズベリー大聖堂(Salisbury Cathedral)を観光するためだったと明かした。

 一方、ロシアの日刊紙コメルサント(Kommersant)は、2人が身分証明書を提示できなかった点や、仕事や私生活について詳細に語れなかった点に疑問を呈した。

 2人は職業をフィットネス業界とサプリメント業界の企業家と名乗ったが、経済紙RBKの調査によると、ロシア国内に2人の名前で登録された企業は存在しない。RBKはさらに、2人は英国観光の目玉と述べたソールズベリー大聖堂を訪れた証拠も示していないと指摘している。(c)AFP/Theo MERZ