【9月15日 AFP】オーストリアの極右政党・自由党(FPOe)所属のヘルベルト・キクル(Herbert Kickl)内相が14日、首都ウィーンで行われた欧州連合(EU)内相会議で、欧州を目指す移民については、陸上ではなく地中海の救助船で手続きを行うべきだと提案した。

 キクル内相はイタリアの極右政党所属のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相との共同記者会見で、自身の提案は「EU加盟国の領海に船で到着する人々」のためのものだと主張。それ以上の詳細については明らかにしなかったが、難民認定申請を求める資格がある移民かどうかを迅速に明らかにする方法だと発言した。つまり、資格有りとされた場合はEUに入境できる一方、それ以外の人々は第三国の「安全な港」に送還されることになる。

 同氏は、この方法が「本国送還の問題」を解決する一助になると主張し、「彼らがいったん欧州大陸に足を踏み入れると、移送するだけでも非常に手間とコストがかかる」と述べた。

 サルビーニ内相はこの提案を支持。キクルおよびサルビーニ両氏の狙いは、欧州にたどり着く移民の数を減らすため、より「抜本的な」方法を検討するようEU各国に圧力をかけることにある。両氏はドイツのホルスト・ゼーホーファー(Horst Seehofer)内相とともに反移民の「枢軸」を結成し、物議を醸している。

 一方、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」オーストリア支部は、キクル内相の発言を非難。

「この提案は、またしても本筋の問題から注意をそらすための試みにすぎない。本筋の問題とは、欧州各国もEU議長国オーストリアも、地中海中央部とリビアで人道的危機への持続可能な解決策をいまだに見つけられていないことだ」と文書で述べ、各国首脳に対して、人命保護を取り組みの中心に据えるよう訴えた。(c)AFP/Sophie MAKRIS