【9月14日 AFP】タイの首都バンコク北部にある消防署には、6月以降、火災通報が一件も入っていない。にもかかわらず、24時間体制でホットラインを設けて対応を要する任務がある──それはヘビの捕獲だ。

 同市ラトヤオ(Lat Yao)地区を管轄する消防署に配属されている消防士の一人は、ヘビ捕獲に駆り出されるばかりで「消火活動は全然ない」と話す。

 活気あふれるバンコクは、かつての沼地に位置しており、ヘビが頻繁に出没。公園や水路、学校などの公共の場でくねくね進むヘビの姿を見かけることは珍しくない。保健省の2016年のまとめによると、死者こそ出ていないものの、1700人以上がヘビにかまれたという。

 地元住民は、自宅内でヘビに遭遇することもある。ヘビは特に、ネズミがすみ着いている家に寄って来るという。

 消防署への通報が増えるのは雨期。その前にヘビの子が生まれるからだ。

 出動して捕まえたヘビが毒ヘビの場合は、バンコク中心部に近いスネーク・ファーム(Snake Farm)へ送られる。

 これに対し、無毒性のヘビの場合は「ヘビを一匹残らず殺してすっかりいなくなってしまったら、ネズミがやって来て病気を運んでくる」として、生態系の安定のためには殺さない方が良いと住民に説明。無害なヘビは近くの大学公園に放すという。

 さらに同消防署では、住民の不安を緩和するため、家に侵入するヘビへの対処方法を教える講習会も実施している。(c)AFP