サハラ砂漠に大規模な風力・太陽光発電所で降雨量が増加する可能性 研究
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【9月21日 AFP】サハラ砂漠(Sahara Desert)に大規模な風力・太陽光発電所を設置することで、地球温暖化を遅らせるばかりか、乾燥した同地の降雨量増加にもわずかながら寄与する可能性があるとする研究論文が6日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。
この研究はコンピューターモデリングを使用し、サハラ砂漠の20%をソーラーパネルで覆い、風力タービンを300万基を設置した場合の影響についてシミュレートした。
面積900万平方キロメートル以上規模の風力・太陽光発電所を設置すれば、世界全体の電力需要を賄うことができるという。
どのような変更を加えるにしろ、発電所周辺で成長する植物が増加するため、風力・太陽光発電所設置によって生じるサハラ砂漠の気候の変化はどれもプラスのものになるという。
シミュレーションによると、サハラ砂漠全体の1日当たりの平均降雨量は0.24ミリから0.59ミリに増加するとみられているが、広大なサハラ砂漠のどこでも均一に増加するわけではない。
増加量が最も多いのはセネガルからスーダンにまたがるサハラ砂漠南部一帯のサヘル(Sahel)地域で、発電所周辺では年間降雨量がこれまでより200~500ミリ以上増加、つまり1日当たり1.12ミリ前後に増加する可能性がある。
この論文の共同執筆者の一人、米メリーランド大学(University of Maryland)のダニエル・カークダビドフ(Daniel Kirk-Davidoff)招聘准教授は、それでも「サハラ砂漠の大部分は、極度に乾燥したままだろう」と指摘する。
しかしサヘル地域における降雨量が増えれば、より多くの植物が育ち、牧草の増加にもつながるという。
この変化は、風力発電所が特に夜、上空から暖かい空気をもたらす点と関連している。その過程で蒸発量が増え、植物の成長も促される。こうした暖気の流れが、1日当たりの降水量を倍増させるとみられている。
一方、太陽光パネルは暗い色をしているため、地球から反射される表面光の量を減少させるので、気温をわずかに上昇させ、降水量も増加させる。
従来の研究では、風力・太陽光発電所を設置すると地表面が暗く、なだらかでなくなるため、大陸規模の著しい気候変動をもたらす可能性があるとされてきた。
しかしこの研究論文の主執筆者で、米イリノイ大学(University of Illinois)に在籍する博士課程修了後の研究者のヤン・リー(Yan Li)氏によると、今回の研究は、植生の変化を織り込んだ初めてのものだという。
ヤン氏は、「植生についての評価が欠けている場合、モデル化された気候への影響が実際から大きくかけ離れたものになる可能性がある」と指摘する。
大気中に蓄積し続け、時間と共に温暖化を推し進める化石燃料の排出と異なり、風力・太陽光発電所発電所の設置に伴う気温上昇は、地理的範囲が限られたものになると研究チームは指摘している。
共同執筆者の一人、メリーランド大のサファ・モテシャレイ(Safa Motesharrei)研究員は、「降雨量と植物の増加は、風力・太陽光発電所発電所によって生み出されるクリーンな電気と相まって、サハラ砂漠やサヘル地域、中東、近隣地域における農業や経済発展、社会福祉の助けとなり得る」と主張している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN