【9月14日 AFP】国連(UN)の北朝鮮制裁委員会がまとめた報告書から、ロシアの対北石油輸出を制裁決議違反だと指摘した数段落がロシア側の要請で削除されたとして、米国が13日、強い憤りを声明で発表した。

 外交筋によるとロシアは8月末、対北制裁の履行状況に関する報告書の公表を阻止している。北朝鮮政府が2018年の輸入上限を超えて石油精製品を輸入しており、昨年の制裁決議に違反しているとする調査結果に異議を唱えたためだという。このときロシアは、対北石油輸出をめぐってロシアの海運会社2社と船舶6隻に制裁を科すよう求めた米国の提案も阻止したという。

「内容が気に入らないというだけの理由で、北朝鮮制裁に関する独立した国連報告書をロシアが編集したり、妨害したりすることは認められない」と、ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)米国連大使は声明で抗議。「ロシアの圧力に屈し」て報告書を改変したと北朝鮮制裁委を非難した。

 ヘイリー氏はまた「これは危険な先例で、北朝鮮制裁委の重要な取り組みの汚点となる」と指摘し、改変がなされる前の8月上旬付の報告書の公開を求めた。

 当初の報告書にはロシアの海運会社と船舶の名称が記載され、対北制裁破りで国際社会の対応を促す内容となっていた。

 ロシアは当初の報告書の公表を8月上旬から阻止してきた理由について、内容が主に米国の情報に基づいており制裁の妥当性に関するロシア側の分析が考慮されていないからだと説明している。

 米国は7月、北朝鮮が洋上で船から船へと積み荷を移す「瀬取り」と呼ばれる手法で制裁を回避しているとする衛星写真と専門家の報告書を引用し、北へのあらゆる石油精製品の引き渡しの即時停止を命じるよう制裁委に要求したが、停止命令は出ていない。(c)AFP