【9月14日 AFP】独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は13日、同社を象徴する小型車「ビートル(Beetle)」の生産を2019年に終了すると発表した。同時に発表された2モデルが最終モデルとなる。

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 VWが電気自動車やファミリー向けの中型車に力を入れる中、フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカ(Volkswagen Group of America)のハインリヒ・ウェブケン(Hinrich Woebcken)最高経営責任者(CEO)が、甲虫にインスパイアされたビートルの生産打ち切りを発表した。

 一方でウェブケン氏は、2017年にワーゲンバスの復活が発表されたことを引き合いに出し、「絶対ないとは言えない」と述べ、ビートルが復活する可能性をほのめかした。

 VWはビートルの最終モデルとしてクーペとコンバーチブルの2モデルを発表した。同社によると、これまでのモデルの流れをくむもので、価格は2万3045ドル(約258万円)~となる。

 ビートルの歴史は第2次世界大戦(World War II)前のナチス・ドイツ(Nazi)時代にさかのぼり、ナチスの指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の支援を受けたフェルディナント・ポルシェ (Ferdinand Porsche)が、後にビートルと呼ばれることになるタイプ1を開発した。

 ヒトラーは1937年、VW社の前身である国営企業フォルクスワーゲンベルク(Volkswagenwerk、「国民車製造企業」の意)を創設。戦後、連合国はドイツ自動車産業の再生計画において、VWを最優先した。

 タイプ1は1950年代に米国で販売を開始したが、売れ行きは低迷。VWの起源にナチスが絡んでいたことが販売不振の一因だ。

 米歴史エンターテインメント専門チャンネル「ヒストリー・チャンネル(History Channel)」によると、広告代理店のドイル・デーン・バーンバック(Doyle Dane Bernback)が1959年、タイプ1を「ビートル」と名付け、小型であることは消費者にとってのメリットだと宣伝し始めたことで、人気に火が付いた。

 1968年に意思を持つVW車を描いたディズニー(Disney)映画『ラブ・バッグ(The Love Bug)』が公開されたことで、ビートルの人気はさらに高まった。

 カー・アンド・ドライバー(Car and Driver)誌によると、ビートルは1979年に米国での販売を終了したが、メキシコとブラジルで生産が続けられた。

 VWは1997年、米国で「ニュービートル」の販売を開始したが、同国における2017年のビートル販売台数は前年比3.2%減の1万5667台と低迷。ジェッタ(Jetta)やパサート(Passat)といったセダンに大きく水をあけられていた。(c)AFP/ John BIERS