【9月13日 AFP】英南部で起きたロシア人元二重スパイの暗殺未遂事件で、英政府が容疑者と断定したロシア人2人が12日、ロシアメディアのインタビューを受け、現場となったソールズベリー(Salisbury)を訪れたのは観光目的だったと説明し、事件への関与を否定した。

 同市では今年3月、ロシア人元スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘ユリア(Yulia Skripal)さんが神経剤「ノビチョク(Novichok)」で襲われるという事件が発生。英政府は、ロシアがスクリパリ氏に制裁を加えたとみている。

 英当局は事件の容疑者を、ロシア人のアレクサンドル・ペトロフ(Alexander Petrov)とルスラン・バシロフ(Ruslan Boshirov)と名指し。ただこれらは偽名で、いずれもロシア軍情報機関の職員と断定している。

 12日夜に、ロシア政府系テレビ局「RT」に自ら接触してインタビューを受けたとされる2人は、英政府が写真を公開した容疑者2人に酷似している。

 40歳前後で、英当局が公表した名前が実名だとする2人は、3月2日に英国入りしたことを認め、翌3日にソールズベリーに移動してストーンヘンジ(Stonehenge)などの観光名所に足を運んだものの、悪天候のため長居しなかったと話した。

 ノビチョクは偽の香水瓶に移し替えられていたと英捜査当局が明かしていることについては、「男が女性用の香水を持っているのは妙ではないか」と指摘し、「税関では何もかも調べられる。男の荷物に女性用の香水が入っているのはなぜかと聞かれたはずだ。私たちは持っていなかった」と訴えている。

 このインタビューの放送前日にはウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、英当局が容疑者とする2人の身元は特定されており、メディアのインタビューに応じるよう促したことを明らかにしていた。

 プーチン大統領は「当然ながら2人は民間人」であり、犯罪に関わる要素はないと述べていた。(c)AFP