【9月13日 AFP】ブラジルで開かれている国際捕鯨委員会(IWC)総会は12日、主に大西洋の先住民地域で行われている「先住民生存捕鯨(ASW)」について議論し、栄養源としての必要性と文化的な背景を理由に、新たな捕獲枠を賛成多数で承認した。

 長年、禁止されている商業捕鯨の中で、IWCは以前からASWを例外的に支持している。今回、反捕鯨国を含めてIWC加盟国は、アラスカ、ロシア、グリーンランド、カリブ海(Caribbean Sea)の島国セントビンセント・グレナディーンのベキア(Bequia)島にそれぞれ存在する小規模な先住民コミュニティーについて、今後6年間のミンククジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ、ホッキョククジラの捕獲枠を賛成68、反対7で可決した。

 ただし、捕鯨に反対する国やNGOの中からは、ASWの捕獲枠を拡大すれば捕鯨の機会を拡大することになり、日本やアイスランド、ノルウェーなど捕鯨国が文化的背景を理由に目指している全面的な商業捕鯨解禁に道を開くと懸念する声も上がっている。

 当初の案では、ASWの捕獲枠は6年ごとに自動更新され、年間捕獲枠に満たなかった分は翌年に持ち越すことを認めていたが、IWC加盟国はこの案を却下した。

 しかし、世界自然保護基金(WWF)は、IWCの科学委員会が捕獲量の更新を監視するとした改定案もクジラ保護の観点からは不十分で、「懸念や疑問にどう対処するか定められておらず事実上、自動更新を認めている」と批判している。