「静けさに慣れていない」 学校に戻り始めたグータの子どもたち シリア
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【9月14日 AFP】ベルが大きな音で鳴ると、数百人の生徒たちが大急ぎで教室へと向かっていった──。ごくありふれた光景のようにも思えるが、シリアの首都ダマスカス近郊のこの町では、ほんの数か月前まで反政府軍と政府軍が激しい戦闘を繰り広げていた。
政府軍は今年の春、5年近くにおよぶ包囲の末、東グータ(Eastern Ghouta)地区カフルバトナ(Kafr Batna)を反対派から奪還した。教育相によると、政府軍が掌握した全地域にある学校には、今月だけで400万人以上の生徒たちが戻って来たという。
質素な教室で生徒たちと言葉を交わすのは、高校でアラブ語の授業を担当するバトゥール・ジャーダットさん(30)だ。ジャーダットさんは、5年前からダマスカスに避難していたが、政府軍がグータとダマスカス全域は「安全」だと表明したため、今年初めにカフルバトナに戻って来た。
彼女もまた、多くの生徒たちと同じように、新しい日常に慣れようとしている最中だ。「私や生徒たちにとっては、静けさでさえ新しいことで、まだ慣れていない」
30人の新しい生徒たちとの距離を縮めようと、ジャーダットさんはある質問を投げかけた──夏休みに何をしたかと尋ねたのだ。すると、その質問に全員が驚いてしまい、教室は静まり返った。しばらくすると、誰かが「砲弾を数えていた」と答え、皮肉交じりの笑いが起きたという。「人生に美しいものなど何もない」と言う生徒もいたと、その時のことを振り返った。
「困難は山ほどある。以前、どのようなカリキュラムで勉強していたのかも分からない。精神的に不安定な生徒が大半を占めている」と、ジャーダットさんは述べる。
教室外の廊下に置かれた小さなテーブルの上には、親たちが持ってきた子どもの入学書類が山積みにされていた。これに目を通していた学校スタッフのサマル・ハティーブさんは、「19クラスあるが生徒の数が増え続けているので、教室を増やすことも検討している」「1日に約70人の生徒を登録している」と話した。
2011年の内戦開始以降、シリアでは35万人以上が亡くなっており、国中のインフラが被害を受けた。学校も例外ではない。教育省のデータによると、これまでに約5000校の修復が行われているという。政府軍が反政府組織を包囲した東グータ地区では、人々の生活に特に大きな支障が出た。
カフルバトナ市内の別の場所では、学校から戻った息子のアマルさん(13)を母親が笑顔で出迎えていた。
AFPの取材に母親は、「息子は学校に行くことを怖がっていたし、私も彼が爆弾で吹き飛ばされたり、銃撃されるのではと恐れていた」と述べ、これまでは暴力と紛争に関する知識が増えるばかりだったと説明した。しかし、今は学校に通い、コンピューターサイエンスと外国語の授業を受けていると笑顔で話した。(c)AFP/ Maher al-Mounes